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お話を少し作ってみた4

2to2(仮題)



彼女を自分達の生活に受け入れるにあたり、朝と昼は自分・夕方と夜は弟が
面倒をみると役割分担を決めた。お互いの生活リズムにあわせたやり方だ。
当初の不満げな様子にもかかわらず、弟はこの環境にすぐに適応した。
──というか、即座に馴染んだ。
むしろ、自然に、そして積極的に幼い彼女の世話を焼いている。

「あー!ほらこぼしちゃダメだぜ?ほら?わかった?」とかなんとか、
今も傍らにひっついて、夕食事の面倒を見ている。大変楽しそうだ。
彼女はスプーンもまだうまく握れないようなありさまで、それをなんとか
してやるのが自分の使命だとばかりに熱心な態度で取り組んでいる。
うまくいけば手放しで褒めて、うまくいかなかったらもう一回。
今までは近所のバーガーキングで10分で済んだ食事タイムが、1時間
立っても片付かない。(まあ、自分達はとっとと食べ終えているのだが)

情操教育にも熱心らしく、昨日は学校帰りにクレヨンを買い込んできた。
いつも週末に渡す小遣いが、月曜に財布に残っていた試しのない
ウィーリー君が、だ。快挙。
彼の選んだクレヨンは、どこで手に入れたのやら中古で短い色も足りない
色も多かったが、夕食を終えて寝る前まで二人でお絵かきだぜーと
満足そうに胸を張った。

はっきりバカと評価していい具合のよろめきっぷりだ。

いつもの彼の定番台詞「兄貴風ふかせやがって!」を、彼女が言ったら
どんな顔をするだろうか。きっと愉快なみものだと思う。

でも、彼女はそんな憎らしいことは言わない。かわりに天使のような快活な
声で笑い、弟を幸せな気持ちにするのが得意なのだから。
彼女──名前をなんとか聞き出すと、拙い喋りでトゥーと答えた──は
愛想がよく、本を読んでやると喜んで続きをねだる。頭のいいよい子だ。

そんな彼女と弟を見て、自分も確かに幸せではある。いままでの
彼の夜のすごし方を思い返せば、本当に。歳相応の少年のようだ。

そして、この幸福に感謝もしていた。
彼にはとても打ち明ける事ができない秘密を胸に抱えながらも、
確かに自分達は幸福だった。

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弟君は不良のくせに保父さんにむいてるようです。
by lose33 | 2001-01-01 20:09 | お話を作るよ

つれづれと一方通行にて生活内容を発車オーライしております。(管理人いなほ もしくはLF 時に局長)

by lose33